9話 スクールパニック(2)

 

 

 

 

ううう、負けた。

 

今日こそはゲッツする自信があったのに・・・

 

食堂の一日20食限定、“特選スパ定食”をあと一歩のとこで食べられなかった。

 

聡に限っては、俺の前で幸せそうな顔をしながらスパ定食を食っていやがった。

 

「そう落ち込むな。ほら、来てるぞ、て・が・み!」

 

姐さんが机の中にあった手紙を取り出す。

 

「はぁ〜、これって俺に対する嫌がらせですかね?」

 

「さぁ〜? どうなんだろうな!(けっ)」

 

姐さん、何か不機嫌です。

 

手紙の中身は恋文ってやつですよ。最近やたら貰うようになってしまった。

 

・・・言っておくが、例え学校一の美女と呼ばれている女子が来ようと俺は姐さん一筋だぞ! これだけは断言しとくからな!

 

「興味あるから開いてみ。」

 

「うえ〜〜、わかりましたよ。」

 

白い封筒を開ける。

 

 

 

『こんにちは。突然のお手紙ごめんなさい。単刀直入に言います。あなたが好きです。

 

あなたの事を考えると夜も眠れません。気が向いたら、同封してある紙に書いてロッカーにいれてください。では失礼しました。  2−1 坂本文香』

 

 

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

よくあるタイプだな。って、1組の方ですか?

 

まぁ、俺には関係ないけどな。

 

「次!」

 

「は!?」

 

「次のも開け!」

 

姐さん、目が怖いです。

 

 

『清原君へ  あなたに付き合っている人がいるのはわかっています。

けど、私もあなたが好きなんです。どうか、一度会ってくれませんか?

ちゃんとお話がしたいです。色よい返事待ってます。

                        2−3 大久保香澄』

 

 

また違うクラスですね。いやはや、参りました。

 

今までラブレターなんてもらった事ないっすよ。

 

俺ってそんなに格好いい??

 

「俺は姿形で人は選ばんぞ!」

 

さいですか。

 

「次いけ!」

 

まだやるんですか?

 

「モチだ。」

 

こんな感じでどんどん見ていった。何気に姐さん、地獄耳モードですね。

 

「・・・・・・」

 

「で、どうすんだ?」

 

「い、言うまでもありません。俺は・・・(ゴニョゴニョ)」

 

耳打ちになったのはまわりが気になったからだ。

 

「そうかい。ま、どうでもいいけど。」

 

素っ気無い感じで姐さんは何処かへ行ってしまった。

 

暫くして、

 

「おい、お前が清原か?」

 

見たこともない男子に声をかけられた。

 

「おぉ、そうだが?」

 

「これ預かった。確かに渡したぞ。」

 

そう言って手紙を押し付けて行ってしまった。

 

「またか・・・」

 

とりあえず開いてみる。

 

 

 

『3−4に参られよ 面白い事が!』

 

 

 

またラブレターかと思ったがそうではないみたいだ。

 

え〜と、新手のお遊びか?

 

「昼休み終了まであと5分か。」

 

3−4に試しに行ってみる。

 

教室の前に来たその時、

 

「ハリケェェーーーーン・ジェノサイドォォォォォ〜〜〜〜!!!」

 

叫び声が聞こえたかと思ったら、中でものすごい轟音があたりを揺るがした。

 

多分、机やら椅子やらがぶつかる音?

 

扉が開き、中から鬼神の如く姐さんが出てきた。

 

いや、もう殺されるってレベルな顔じゃないですよ。

 

きっと原始単位にまで分解されるほどの高性能核爆弾を目の前で爆発させたような、そんな感じです。

 

「ね、姐さん・・・・」

 

「お、竜輔、どした?」

 

俺の方を向いた途端、一変して爽快そうな顔に変わった。

 

「い、いえ・・・。教室に戻りましょうか?」

 

「おう!」

 

よほどいい事があったのだろう。

 

姐さんは俺の腕を絡ませてきて、ニコニコしている。

 

思ったこと。今日はやたら輝いていて俺まで嬉しいです。

 

んで、俺等のラブラブぶりを全校生徒にさらしまくって昼休みは終了。

 

うむ。いつもの調子が出てきた!

 

 

 

放課後。

 

私は昼休みのあたりからかなり気分がいい。

 

何故かと言うと、久し振りに誰かをぶっ飛ばせたから。

 

実は、竜輔と別れてから廊下で3年の不良男に声をかけられた。

 

そりゃそうさ。今日の私は化粧して、スカートも超ミニにしているからな。

 

で、そいつが、

 

「2年生かぁ? 美人だなぁ。俺と付き合わねえ?」

 

とかほざいてきた。

 

即座に一発グゥで殴る。狙いはモチ鼻。

 

竜輔と始めて会った時は避けられて且つ掴まれたが、こいつは並みの人間だ。

 

成す術もなくその場に倒れる。

 

容赦なく頭と腹を数回蹴る、蹴る、蹴りまくる。

 

「痛い痛いよぉ、ママぁ〜〜〜。」

 

「こいつもマザコンかよ? てめぇ、何組だ?」

 

「ひっ、よ、4組・・・です。」

 

「あぁ、あの悪名高い4組かぁ。よし、いっちょ行ってきますか!」

 

ウチの学校では割と出来が悪い奴、又は問題児は一つのクラスにまとめられる。

 

んで、今年の3年の悪組は4組。

 

男は万引き、カツアゲ、暴力は勿論、レイプの常習犯がいるとの噂まで流れるほど。

 

女はキャバクラのバイト、果ては娼婦とかいうのもいるらしい。

 

そいで、私がちょっちょっと気合いれてやったわけだ。

 

てか、今までよくこんな学校にいることを親父が許してよなぁ〜。とその前に学校だな。

 

何はともあれ、最近は竜輔殴ってないからストレス溜まってたんだよねぇ。

 

「姐さん、今日はどうしますぅ? やっぱ昨日は姐さんちにお世話になりましたから、今日は俺の家に来て下さいよ。」

 

「じゃあ、行こっか♪」

 

かなりノリノリ。こうなったらどんな事があっても許せてしまいそうだ。

 

 

 

 

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