第4話 姐さんGET作戦
朝。
「姐さぁ〜〜〜〜ん、Good morning♪ 今日も一段とお美しいことで。」
「・・・はいはい、おはようさん。」
姐さんはゲンナリした様子だが、俺は気にしない。
だって、いつもこうなんだもん。
現在、学校へ向かっている。今歩いている通りはこの時期、桜が満開で、たまに毛虫が降ってくるから、女子は絶対通らない魔のストリート。
あぁ、姐さんの悲鳴を上げるところも見てみたいものだ。
「お前さ、よく飽きずに毎朝家の前に立ってるのな。」
「やだなぁ、姐さんに会えるという事が一日の俺を構成しているようなもんなんですから、これくらい何ともないですよぉ。」
「・・・」
「・・・」
「じゃあ、俺が休んだらどうするんだ?」
「・・・馬鹿は風邪を」
「馬鹿はてめぇだぁ〜〜〜〜!!!!」
本日一発目の愛の鉄槌。
派手に“車道”の方に殴り飛ばされた俺。
う〜ん、いいね。これでこそ姐さんだ。
「マジで死んじまえ!」
数秒後、大型トラックが接近してくる事に気づかない男子生徒が1人・・・
「いやぁ〜、まさかトラックが来ているとは思わなかったねぇ。」
「普通死ぬだろ!? てめぇは軟体動物か!?」
「氷見院君、軟体動物でも普通は死ぬと思うわよぉ?」
要はこういう事。車道に殴り飛ばされた俺は接近している大型トラックに気づかないまま、痛みの余韻に浸っていた。案の定、トラックにはねられた
(?)が、足を捻挫しただけですんだ。ちゅーわけで、保健室にまたまたお世話になっているわけだ。
投げ出された足には、包帯を巻いて氷が乗っかっている。
「トラックが俺の足の上を通過して行ったんだ。しかもそのトラック、何事もなかったかのように通り過ぎていくし・・・。全く、困った奴だよ。」
「・・・お前は絶対に死なない気がする。」
「いやぁ〜、姐さんに誉められちゃうと俺、照れちゃうなぁ。」
頭を掻いて嬉しくなる俺。
「誉めてねぇっつの!」
姐さんは何処から取り出したのかハリセンを取り出した。
○代高校の△鳥さんもビックリの特大サイズだ。
そして一発。
バシっ!!
「うわぁ〜、姐さんにツッコまれた〜。嬉し〜い♪」
「はぁ〜、馬鹿に何しても意味なしですか。じゃ、俺は戻りますね。」
退室していく姐さん。
「敏子センセ〜、いい加減に姐さんをモノにする技を教えてください〜。」
「う〜ん、そうねぇ・・・女の子なら物でも贈ればいいんだろうけどぉ・・・。
氷見院さんは男って感じだからぁ効果は期待できないわねぇ。」
顎を掴んで首を捻りながら考える敏子先生。そして、何かひらめいたのか、ポンと手を叩いて、
「そうだわぁ! 明日は休みだから、食事にでも誘ってあげればどうかしらぁ? そして、その後は・・・学校の裏にあるでしょぉ? 四角くて、夕方頃か
らやってる白い建物(はあと)。そこに連れ出して、ウフフ・・・」
「・・・せ、先生って意外と大胆ですね。一つ目はナイスですけど、二つ目はねぇ〜・・・。」
「そお? それで今の旦那をモノにしたんだけどぉ。」
い、いや、女性の場合、二つ目だけでも効果抜群でしょ? 大体、敏子先生美人だし。
確か、まだ20代なはずだ。
「あ、清原君ったらぁ〜、またそんな事言って先生を口説くつもりぃ?」
言ってない言ってない言ってない!!
「ま、まぁ、食事に誘う程度なら問題ないはずですよね。男竜輔、頑張ります!」
敬礼してから握手を求めた。
昼休み。
「というわけで、姐さん! 明日お暇なら是非是非、私めとお食事を・・・。」
「あぁ?? 食事だぁ? ・・・悪いが明日は不本意ながら予定が入っているんでね、パスだ。」
ガァ〜〜〜〜〜ン!!
撃沈しました。
俺は明日どう生きていけばいいんだ??
「ううう、せ、せめて今の時間ぐらいはご一緒させてはもらえないでしょうか?」
「・・・わぁったよ。今だけな。」
ヤタ〜〜〜〜〜!!
そして、昼食時間を満喫する2人。
「俺は満喫の“ま”の字もないけどな。」
「またまたつれないなぁ〜。まぁ、そういうところもス・テ・キ(はあと)」
「馬鹿発生源はここかぁ〜?」
最強の5歳児の母もビックリの頭グリグリ攻撃だ。
あぁ、この痛みもまた懐かしさを覚えます。
クラスメイト曰く、俺はこの時幸せそうな顔で失神していたそうな。