2話 運命感じちゃいました的な邂逅

 

 

 

あれは、俺が高1の時だった。

 

たまたまその辺では名の知れた不良、神原大介(かんばら だいすけ)と同じクラスになって、そいつが無謀にも俺に喧嘩を売ってきた。

 

勿論、買ってやって、ボコボコにしてやったわけよ。

 

そいで、そいつがリベンジしに来たわけだ。

 

「清原、てめぇこの前はよくも俺の美顔をボコボコにしてくれたなぁ?」

 

「へぇ〜、てめぇの顔がって言うんなら、俺の顔は将に超・美ってわけだ。

 

その超・美顔の俺に無謀にもまた挑戦しに来たってわけか? 今度はどんな顔にしてやろうかなぁ〜。そうだ、パパにしてやろう。『これでいいのだ!』最高!!」

 

「て、てめぇ、我慢ならねぇ。この拳で直接殴りたい・・・が生憎、今日は血で汚したくないんでね。」

 

「この前はそのまま殴りかかってきたけどな?」

 

「う、うるせぇ! ・・・センセイお願いします。」

 

とかいって、後ろからそこそこデカイ奴が出てくるわけよ。

 

髪の長さは耳が隠れる程度でボサボサ。ワックスでネジった感じじゃなさそうだけど・・・。

 

釣り目、肩幅は意外にも狭い。

 

まぁ、一匹狼な助っ人って奴か?

 

「へぇへぇ、俺は誰かを殴れればそれでいいんだ。んじゃ、いくぜ!」

 

釣り目男は真っ直ぐ俺にパンチを打ってくる。

 

俺はワイヤーアクションさながらの動きで華麗に避ける。

 

「どうした、こんなもんかよ?」

 

とか言って、相手の拳を余裕で掴んで・・・思わず見とれてしまった。

 

「・・・・な、何だよ?」

 

「う、美しい。完璧だ。こんな綺麗な手、初めて見た。お、お名前をお聞かせください。」

 

「な、名前!? ・・・氷見院柳だ。」

 

そう、これが俺と姐さんとの運命的出会いなわけさ。ん〜、一目惚れだねぇ。

 

「俺、清原竜輔です! 趣味というか特技は女あさ・・・じゃなかった女性とすぐ仲良くなる事です。宜しくお願いします!」

 

そして、自己紹介したわけだ。

 

「あ、あぁ、こちらこそ・・・?」

 

2人は握手する。

 

「今日から姐さんって呼んでもいいですか?」

 

「ね、姐さん!? てめぇ、なんで俺が・・・」

 

言いかけて、後ろを振り返る。

 

「ばっち来〜〜〜〜〜〜い!!」

 

意味不明な言葉を発しながら、当時の姐さんは大介パパ(勝手に命名)を殴り飛ばして、俺を一目の付かない所に連れてきた。

 

俺はその時、何をされるのかドキドキハラハラしたものだ。(いや、嬉しい意味でだぞ?)

 

「ふぅ〜・・・お前、なんで俺が女だって気づいた? 親父の犬か?」

 

「何を仰いますか! 俺はあなたの手に惚れたんでやんす。そして、よくよく見ると顔も意外と・・・ぽっ」

 

まじで姐さんの顔は超超超・美って感じでさ〜、さらに惚れちまったんだよね。

 

 

 

「なるほど、つまり、清原君は女垂らしってわけねぇ〜。私も気をつけなくちゃねぇ。」

 

「ご心配なく! 俺は姐さんと人生を共にしますので、他の女性の方々には超・安全ですよ。」

 

親指を立てて、Goodのサインをする。

 

「ふぅ〜ん。で、なんで女だって気づいたのかしらぁ? 私は土方先生から聞いてるから知ってるけど、普通に手が綺麗ってだけで女だってわからないはずよぉ?」

 

ここで補足説明。土方先生とは俺のクラスの担任で、フルネームで土方琢太(ひじかた たくた)という。

 

「先生、俺は半径20m以内なら例え、視界が悪くても正確に何人いるかわかりますよ。」

 

これぞ、清原流108の秘密技の一つ、人間女補足術!

 

本来、姐さんと出会う前はクールな感じで、いろいろな女を口説いては転々としていたのだ。

 

そうだよ、世に言う女垂らしだよ・・・

 

「姿形がどうであれぇ、男と女の区別くらいつきますよぉ。」

 

敏子先生の真似をしてみる。

 

「そういう力をもっと日本のために役立てられないのかしらねぇ〜。」

 

グサッ!!

 

アウチ!!!!

 

鋭い突っ込みを二度もくらっては今日は姐さんが来るまで立ち直れそうもない。

 

早く来てぇ〜〜〜〜〜、姐さぁぁ〜〜〜ん!!

 

 

 

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