1話 Spring came

 

 

 

春です。校門だけではなく、学校の周りは桜が満開です。

 

清々しいです。空も快晴で綺麗な青が一面に広がっています。

 

まるで、太陽が僕等の事を祝福してくれているように見えます。

 

「一応聞いておくが、祝福って何の祝福だ?」

 

「モチ、俺と姐さんのラブらゴハッ!」

 

「その続き言ったら真横川(近くにある川)にお前の死体が永遠と漂いつづける事になるぞぉ?」

 

「痛い、ひどい、あの夜の出来事は何だったの??」

 

大きなタンコブが出来た頭を摩りながら俺は姐さんを見る。

 

「ないない、大体、夜にお前と会った事なんてないだろ! 誤解を招くような事言うな!」

 

姐さんは怒ってはいるが、顔は真っ赤だ。どうやら満更でもなさそう?

 

「うふふ、顔なんか赤くしちゃってぇ〜、かわいブフっ・・・」

 

「さぁ〜て、今日はお前のせいで学校に遅刻していかなきゃならんらしい。」

 

思いっきり鼻を殴られ悶絶する俺。鼻血がド派手に流れる。

 

殺されそうです。しかし、どうした事でしょう?

 

姐さんの顔がいつも以上に美しいです。マリア様のようです。

 

なんか今日は何されても嬉しくてたまらない気分がしそうです。

 

「満身創痍のくせに何ニヤついてんだよ? 末期か?」

 

「う〜ん、マイスウィー・・・じゃなかった俺のマリア様ぁ、もっと殴ってぇ〜。」

 

「・・・しらん。」

 

付き合いきれなくなったのか、姐さんは俺を置いてとっとと行ってしまった。

 

ふふふ、そのつれない所もジャストミートだ!(意味不明)

 

そして俺は意識を手放した。

 

 

 

 

俺は清原竜輔(きよはら りゅうすけ)。私立岳倉橋高等学校3年1組、出席番号は5番。

 

ただ今、我等が姐さん、氷見院柳(ひょうみいん やなぎ)と激・恋愛中!

 

だから、恋人募集なんて負け犬がするような自己紹介はせんのだ。

 

あと、姐さんは同じ高校で同じクラス。出席番号は16番。

 

ん? 男が少ないのかって??

 

そんなわけないじゃん。

 

俺のクラスは男子21人、女子19人の40人クラス。まぁ普通さ。

 

男子は1番から始まって、女子は22番から始まる。

 

矛盾が起こるって?? あぁ、姐さんの番号ね? 

 

いい質問してくるじゃん! 確かに、姐さんの番号は16だ、間違いない。

 

しかし、女子は22番から始まる・・・だ、断じてモ接合体とかそういう話にはならないから注意!

 

俺は至ってノーマルだ。そして、姐さんに一途なんだぞ!

 

ここテストに出るから耳かっぽじってよく聞け!

 

そしてありがたく思え、この学校では俺以外の生徒はみんな知らない。

 

姐さんは女だ!!!

 

男装したがるお年頃なだけだぁ〜〜〜〜!!

 

 

 

「だぁ〜れぇ〜が〜お〜と〜し〜ご〜ろ〜な〜ん〜だぁ〜?」

「うひゃ、姐さん! 傷ついた俺をわざわざ見舞いに来てくれたのぉ? 竜輔、感激(はあと)」

 

「・・・見舞うまでもなかったか。」

 

溜息をつく姐さん。その姿もまた色っぽい。

 

「こらこらぁ、興奮するとまた鼻血がでるわよぉ〜?」

 

おっとり口調で保健室の渡辺敏子(わたなべ としこ)先生が俺に諭す。

 

そう、俺は今保健室のベッドの上に横たわっているわけだ。今朝、姐さんに愛の鉄槌(?)をくらって、気づいた時にはここに運ばれていた。

 

「敏子せんせぇ〜、姐さんの心をゲッチュ〜する方法を教えてくらはい。」

 

「はいはい、また今度ねぇ〜。」

 

実は敏子先生も教師陣の中で姐さんが女である事を知っている数少ないお方なのだ。

 

「はぁ〜、渡辺先生。この馬鹿をもうちょっといたぶっておいてください。」

 

「OKぇ〜! 氷見院さ・・・じゃなかった、氷見院もはやく教室に戻ったほうがいいわよぉ?」

 

「はい、では失礼しま〜っす。」

 

「次の時間も待ってるよ、姐さ〜ん。」

 

バタンっ! 

 

ふっ、今のは俺に対する愛の返事だと見抜いた。

 

「そんなわけないと思うけどぉ〜?」

 

敏子先生の容赦ないツッコミ。

 

せ、せんせい、Good job

 

ていうか、地獄耳ですか?

 

「ん〜、意味わからないけど、昔よく言われたわ〜。どういう意味なのぉ?」

 

「え〜と、人の心が読めちゃったりする半エスパーな方々の事かと・・・。」

 

「ふ〜ん、あたしってすごいのねぇ〜?」

 

「あ、あははは・・・。」

 

こういう事も持ち前の天然パワー(?)でプラスに考える人だから付き合いやすい。

 

「ところで、前々から聞こうと思ってたんだけどぉ、なんでそこまで氷見院さんの事が好きなのぉ〜??」

 

「はぁ、それについては話せば長くなります。」

 

 

 

 

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